2012・5・26おおい町「もうひとつの住民説明会」報告

おおい町の駅前には、いかにも「原発マネーで建てました」という道の駅的施設がある。そこにはご当地産品の他に、もちろん、原発関連施設の立派なリーフレットがたくさん置かれている。
しかし、それらリーフレットの脇に、この「もうひとつの住民説明会」のチラシも置かれていた。
大飯現地も揺れているようだ。

「もうひとつの住民説明会」は、150人ほどの集会だった。用意した席はすべて埋まった。大飯地元の人は20人ほど。声をあげにくい立地自治体としては、上出来の出席率だといえるだろう。
福島の女性が5人来て発言した。いずれも、ときおり胸を詰まらせながら、福島の現状を訴えた。
「経済の論理も大切だが、いのちを大事にしない経済合理性とはいったいなんなのか」
煎じ詰めて一般化すると当たり前の話に聞こえるかもしれない。TVやネットだとここから一般的な話が始まる。
しかし、この当たり前に聞こえることを、具体例を交えながら、公衆の前で、しかもたまたま当事者となったこの私が、発話する、そして、そういう状況に置かれている。胸をつまらせるのは、このこと自体が信じがたいという思いがあるのだろう。 3・11前にはこんな活動をしているとはだれも想像していなかった人たちばかりだ。
原発にまつわる観念的な空中戦がいかに不毛なものかを感じるには充分だった。

朴勝俊関西学院大学准教授は、環境経済学の立場から、大飯原発が廃止されても、法的には地方交付税や、廃炉コストなどにより、経済的にはただちに困難に見舞われるわけではないこと、現在の原発産業も、地場産業は孫請け以下で、業種も建設業が6割、原発関連産業は一社も育っていないことなどをデータを示しながら説明した。
そして再生可能エネルギーは世界的には原発よりはるかに成長産業であり、廃炉ビジネスを中継ぎにしながら、新しい展望を示す必要があることを訴えた。
小林圭二前京大原子炉実験所助教は、再稼働は、保安院・原子力安全委員会という通常の手続きをとばして、4閣僚判断で強行しようとしており、手続き的にもおかしいこと、安全面でも大飯原発は、福島の沸騰水型とちがい、スリーマイル型の加圧式で一層危険であり、にもかかわらず格納容器に、そもそもベントもついていないし、つけてこようとしなかったこと、しかもこのことを関電があきらかにしたのは、この日の前日の会合での小林氏の質問の中だったことなどを説明した。
質疑応答では、大飯現地の寺の住職が、4月28日の政府説明会の内容を報告した。
政府説明会では、加圧式は格納容器は大きく、水素がたまるのも「ゆるやか」であり、水素爆発が起こるなんてことはありえないと言われたこと、小林氏の説明のように、スリーマイルも加圧式で、格納容器内で水素爆発が起こったなんてことは、一切説明を受けなかったこと、などを感情を極力おさえながら淡々としゃべろうとしていたことが印象に残った。(吉永剛志)

原子力基本法改悪に断固抗議する緊急アピール